フィンテックとシリコンバレー
2015年に書いた「フィンテック通信」というニュースレターを一般公開します。
2年間の間に、シリコンバレーでのフィンテックの期待感が大きく、「既存企業に対してディスラプティブなポテンシャル」から、「ディスラプトされまいとする既存企業がスタートアップと補完関係を作り、活用するもの」に様変わりしている印象を受けます。
ニュースレターのフィンテックの概念は、その辺にも興味を持っていただければと思います。その他のフィンテックの分類や、ブロックチェーンの説明などはまだそのまま使えるはずです。ご自身の参考や、社内のレポートなどで活用していだたければと思います。
下記の文章は年末までにはより広げた形でコラムにする予定です。
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2017年に日経主催のFintech Summit Week (FimSUM week)に参加させていただいたが、2年前に私がフィンテックについてシリコンバレーから下記のニュースレターを描いた時に比べて状況が様変わりしていたのが非常に興味深かった。
2015年の時点では「破壊的なサービスで既存の金融業界をディスラプトする」可能性にシリコンバレーでは期待感が感じられた。しかし、ディスラプトする側が現れるポテンシャルに対して、既存企業は危機感を抱き、「ディスラプトされまい」という動きを急速に取り始めた。それはM&Aや自らのCVCの動き、そして立て続けに起きている業務ていきや資本提携という形に見られる。
そして2017になり、東京でのフィンテックサミットで感じた日本での論調は、「フィンテックとはITを使って新たな金融サービスを提供する」というものが多かった。しかし、金融業界は歴史的にはいち早くITを駆使しているので(特に保険業界は1970年代のリードユーザーだった)、なにを今更わざわざ新しい言葉を使っているのか、という印象があったかもしれない。
ブロックチェーンの導入もうそうだが、2017年の後半から見るフィンテックは、disruptiveではなくsustainingなテクノロジーを、既存企業がスタートアップから調達したり、買収して得て、既存企業が対応可能なビジネスモデルに取り込むという形が強くなっている気がする。
そしてシリコンバレーではこういったディスラプティブではないフィンテックは、様々な業界を一気にディスラプトすることによって急成長が見込める他の分野(例えば自動運転や人工知能を駆使した様々な取り組み)の方がエキサイティングで投資対象、スタートアップを起こして人生を捧げるように働く価値があるとみなされることが多い印象を受ける。シリコンバレーのトップVCは一本か日本の「場外ホームラン」の投資案件でファンドのパフォーマンス全て叩き出すので、これからシリコンバレーでのフィンテックスタートアップは十分魅力的なものは出てくるはずだが、既存企業との協業や補完関係を狙うものは場外ホームランとはならない可能性が高い。